【下の立場から会社を変えたいマーケッター向けの本】
戦略やスローガンがあるが、社員に浸透しておらず、 何を目的に仕事をすれば良いかわからない、 戦略を説明できる上司がいないし、 社長も伝えっぱなしで伝わることの大切さを知らない。
もしくは、社長が決めたことは誰もが従う環境であることと、 社長が気分で仕事をしているため、 自分の思い通りいかないことは、精神論を振りかざす傾向があり、 幹部は何も言えないような環境をつくっている会社があったとしま す。
著者はそんな機能不全に陥った会社たちに警鐘を鳴らし、 本当の意味の組織改革を伝えたいと思って書かれた内容だと思いま す。
USJをV字回復した日本有数のマーケッターである森岡さんの「 経営書」です。
私が気になったポイントを記載したいと思います。
・ビジネスを行う目的で編成される4組織
①マーケティングシステム
売上を獲得する機能。マーケティング部はその機能の一つで、 市場調査部、営業部、 売上獲得に関わる全ての重要機能も含まれる。
商品企画も含まれるのだが、 商品を売る段階で商品を考える機能がマーケティングシステムに加 わることで、新しい商品の着想を産む
②生産マネジメントシステム
商品企画が考えた売れる商品に対し、 商品を生産することに関わる一切のつながりを請け負っている、 商品を継続的に生み出し続ける一連の機能です。原材料の調達、 工場での生産、在庫管理、 物流管理などの一連のロジスティックスがこの機能にあたる。
③ファイナンスシステム
マーケティングシステムによって獲得された売上から、 組織を機能させるためのさまざまな経費を管理し、 財務状況を改善する施策や企業のさらなる成長に繋げる方策を司る 部門
④組織マネジメントシステム
人をより生産的に働かせる仕組み。人事や総務などがあたります。 人の評価制度を司る部門
→目から鱗なのが、 マーケティングシステムに営業もマーケも商品企画も全て一つにま とまっていることですね。 商品企画は事業部の中で商品を作る傾向にありますが、 商品企画を外に出しお客様の要望を聞くことで売りやすい商品が出 来上がる。 売りやすいのは自分たちのコンセプトとターゲットとしたお客様の 要望が合致した状態であり、誰に売りたいのか、 その誰に大きなメリットがあるのか、 その誰が他の人にも広めたいと思う商品なのか、 そこまで現場と擦り合わせる大切さを学びました。 カッコ良さだけ追求する自己満足の商品ではなく、 買いたい人にとって素晴らしい経験を与える商品であることだと思 います。
・意思決定者が何に困っているかを調べる
上は上からどんなプレッシャーを受けているのか、 困っていることの優先順位はどうなっているのか。
→優先順位は不明確なことが多いですよね。 自分が思っている順位と違うことは良くあるので、 本質的なことは何かと比べながら優先順位は決めるべきと思います 。
・組織に色濃い不文律や暗黙知から探る
その時代には、 たまたまその方法をとって目的を達成したことも多いので、 戦術は時代と共に変化すべき。ただし、 本質を実行するための方法論として創業の精神をアップデートする ことはアリ。USJはワクワクドキドキは変えず、 映画だけを変えた。
→経営者の満足度が高い施策ですね。 第一線で働く社員には関係ないことです。なので、 この精神は管理職までがしっかり理解し、 それより先は管理職に任せること。言葉を伝える必要はなく、 管理職がその精神に則り、社員をついて来させることができれば、 そのミッションは浸透されていくものと思います。 現場から出世する人間はそういったことを意識し始めると思います 。全てに伝えるよりも、 少なくても良いので濃度の濃い理解者がいることが大切だと思いま した。
・普遍的な経営のキーワードから仮定する
「売上を伸ばす」「利益率を上げる」「優秀な人材を取る」など、 戦略が仮説の域であれば、 上記のような普遍的なキーワードを入れて検証する
→戦略はまとまっていないことが多いので、整理するか、 シンプルな言葉に置き換えて、 何をすればどうなるかを伝えるだけで良いと思いますね。
・上に売り込むには二系統ある
その1 組織目的に忠実なターゲット
組織全体にとっての正しさを最重要視しているターゲット
その2 自己保存に忠実なターゲット
自分の都合が悪い提案を受けない。 自分がよく見えるようにしたいターゲット。なので、 提案する時も、 わざと穴を作り上長がそれを埋めて持っていくことをしないといけ ません。本来はこんなこと仕事ではないのですが、 抵抗勢力にもなり得ますので、上手く取り込むことが必要。
→ やる気を持って仕事をしている人には邪魔な存在が自己保存する人 ですね。 とにかく上司に取り入ろうとする人がいたのが懐かしく思います。
・巻末の対談「秋元康」
「ターゲットはギュッと絞って、そこで人気を取り、 選抜総選挙のような仕掛けをして大衆に知ってもらう」
「アイドルっぽくないけど良い曲、 365日の紙ヒコーキをNHK連続テレビ小説あさが来た、 で流すことでファン以外の認知も上げる」
「記憶に残る幕の内弁当はない」
「あの何とか、と呼ばれるように、あの、 の部分を作ることを毎回考える。秋葉原の何かの劇場のアイドル、 といってもらった時に買ったと思うわけ」
最後は秋元康さんの言葉で締めとなりましたが、 今会社の体制で悩んでいるマーケッターは共感できる内容と思いま す。
#メーカー営業目線
#NIer目線
#テレビ番組制作目線
#広告代理店営業目線
#広告代理店プランナー目線
#マーケッター目線
#元YKK
#元ネットマークス
#元テレビ番組制作
#元三井物産のスタートアップ
#元ADK