tigerdriver-91’s blog

東京に来た大阪人がつれづれなるままに書いたブログ

イーロン・マスク 下

f:id:tigerdriver-91:20240421220321j:image

 

まず、上巻を読みきれず諦めた人は、もう一度読み直してほしい。下巻には2020年から驚異的な技術革新が描かれており、ハッキリ言って読んだ方が良いでしょう。

 


技術的な細かい話は読み飛ばして良いかと。潮流を知っておくだけで、大丈夫です。

 


下巻はスペースXの火星開拓検討会から始まる。火星に行くには予算がいる。そのために有料のインターネットサービスを作ってはどうかと言う話になる。通信衛星を作って打ち上げ、宇宙空間にインターネットを再構築する考え方だ。新部門【スターリンク】で衛星四万基を目指すとする。イーロンマスクはスキルがある人よりもバードワークをする人を好んだ。スキルはいつでも身につけることができるからだ、考え方は変えられないからだ。

 


2013年から2021年までにイーロンマスクはジェフ・ベゾスと宇宙科学で対決していた。ケープカナベラル第39A発射台をリースするか(マスクの勝ち)、どちらが先に宇宙の際まで行ったロケットの着陸を果たすのか(ベゾスの勝ち)、軌道まで上がったロケットの着陸を果たすのか(マスクの勝ち)、人を軌道まで送り届けるのか(マスクの勝ち)と繰り返し競いあっていた。

 


スペースXがベゾスのブルーオリジンに競り勝ち、月の旅の最終段階を担う契約を獲得した。2021年4月だ。Twitterで二人は口論する。マスク信者がベゾスを詰るツイートが目立った。

 


ベゾスとマスクはある意味似ている。ふたりとも、情熱とイノベーションと意志の力で業界を根底から変えてきた。部下の扱いは手荒だし、なんでもすぐ『ばかやろう』と言い出すし、出来ない理由ばかり探す人がいると腹を立てる。目先の利益を追求せず、未来を見据えて進む。

ただ、こと技術開発の方向性はまるで異なる。ベゾスは体系的に進める。マスクは直感的に進めるのである。一歩ずつ果敢に行くベゾスと、メチャクチャな納期を設定して達成できない社員をなじり見切りをつけたら直ぐにクビにするマスク。ベゾスとマスクは戦い続けることで、アメリカの宇宙開発は進んでいくのである。

 


2021年9月、スペースXのインスピレーション4が、宇宙ステーションより高い宇宙に飛び立った。それは1999年にスペースシャトルが飛び立った以来の高度だ。しかも民間人を乗せて飛び立った。それは1989年以来のことだ 。NASAは2011年を最後に友人飛行を終了。民間にとって変わった瞬間でもある。

 


ヒューマン・コンピュータ、インターフェイスの進化により、人の脳とコンピュータを緊密に結べるようになると期待される。スティーブ・ジョブズが亡くなる2011年に取締役会にかけていたアプリ『Siri』だ。

 


その技術に注目したマスクは、頭にチップを埋め込んで脳の信号をコンピュータに送受信すれば、今のスピードの100万倍早くできると考えた。2016年の半ばにニューラリンク社を立ち上げ、コンピュータと精神融合しようとした。

 


もともと脳に埋め込むチップは1992年にユタ大学が開発。マイクロチップから針が100本はえていて、それを直接脳に押し込むと、この針1本1本がニューロン一個の信号を捉え、頭に貼り付けた箱にデータを送る。なお脳にはニューロン約860億個もある。2019年マスクは3000本以上の電極のあるチップを脳に埋め込むなどの小論をだす。2020年には脳に埋められたチップから指示を出す動画が公開された。

 


2022年4月NASA(いまだ自前の打ち上げ能力を持たない)の宇宙飛行士3人と欧州宇宙機関の宇宙飛行士一人を乗せ、4回目となる国際宇宙ステーションへの有人ミッションも成功させた。通信衛星の打ち上げも行い、スターリンクの衛星数を2,100基とし、ネット接続の提供もウクライナも含む40カ国に広がり、契約数は50万件を数える。軌道ロケットを安全に着陸させ、再利用するのは、スペースX以外、どこの会社も国も成功していない。この月は他にイベントがある。Twitterの買収だ。

 


これだけ順調だと修羅場を作りありえない納期を設定して発破をかけるマスクだが、今回は行わない。Twitterの買収に動いたからだ。

 


Twitterの株を買い始めていた当初、取締役役の打診を受けて、一悶着あったが合意。Twitter社も発表した。だがマスクは取締役ではTwitter社を根本的に帰ることは難しいと判断。トップアカウントは殆ど呟かない、botが多いなど現状の問題点の解決を考えた。買収しリストラを敢行し、botをなくすなどTwitterのあるべき姿に変えることを考えていた。そして、株の非公開化を考え38%のプレミアムを乗せた価格を提示。

 


現状の収益である広告90%から45%まで下げて、ユーザーから徴収するサブスク料金とデータのライセンス料とすると考えた。収益を広告質の高いツイートをしている人には課金させるシステムも考えている。

 


取締役会で承認され出資社を募り買収は確定。その後Twitter経営陣とマスクは会合し、まずら偽アカウントの数をどうやって把握しているのかと尋ねた。経営陣はハッキリ答えない。買収提案を改定や破棄したいことばかり考えていたからだ。細かい質問に答えない。テスラならクビだ。その後の細かい質問にもはぐらかす回答しかしない。偽アカウントの数はもっと多いと確信を持っていたマスクは買収における条件に詐欺があると言って、買収後に経営陣を訴える方法もあるが、経営陣は持株が少なく、値下げをした方が収益化になると考えた。一株54ドル20セント、総額440億ドルで買収するのが最善手か、裁判になっても条件を下げるかで揉めたが、結局は440億ドルで買収。Twitterの運営はマスクとエンデバー社で行い、コスト削減、文化の再構築、広告主やマーケッターの関係を1億ドルで譲り受けた。22年10月の買収に向けて、Twitterオフィスを訪問したマスクは、洗面台を持って行き、洗いざらいわかってもらおうと思って持ってきた。ワークライフバランスは知ったことではない、と言うことだ。10月28日に上場廃止と合わせ、Twitter幹部を全てクビにした。そして、75%の社員をリストラする。。。

新しいアイデアも取り入れられた。シャドウバン(ツイートを削除したりアカウントを凍結する)のではなく、ツイートに警告メッセージを添えると言う方向にかわった。そして、徹底的にヘイトスピーチをなくすことだ。マスクはヘイトスピーチを無くしたいとツイートするが、マスク自身の発言も問題視されることが多いことから、8割の広告主が去るのである。。

 


2022年スペースXと同じように軌道への打ち上げを行なっているのは中国。NASAは当事者でさえない。スペースXがもう一度月に人類を送る前に中国が成功することを考え、スペースXに発破をかける。修羅場の発動だ。そうやって常に技術革新を図るのがマスクのやり方だ。

 


ツイッターブルーをサブスク化する事で収益の逆転を考えたが、ツイッターブルーを取った偽アカウントが本物になりすまして嘘のツイートをばら撒き始めた。コカコーラ偽アカウントがコーラにコカインを入れたとか、テスラ偽アカウントがワールドトレードセンターにテスラ車が突っ込んだ、など。社員をレイオフしたツイッターでは、偽アカウントの対応が難しく、リリースを延期することになった。そんな中、マスクは2回目のレイオフをして、8割の社員カットを考える。1回目は優秀ではない社員。2回目は忠誠度が低い社員のカットだ。社内は反対の嵐だがマスクは強引に実行した。

 


優秀である事、信頼がおける事、そして3回目は本気である事、それを試すために残った3600人にメールを送った。

 


from イーロン・マスク

2022年11月16日ブレークスルーでツイッター2.0を作り、競争が激化していく世界で成功するため、我々は超本気にならなければならない。つまり、長時間、集中して働がなければならない。この新生Twitterに加わろうと思う諸君は、以下のリンクの『イエス』をクリックしてくれ。明日、の東部標準時間午後5時までにクリックしなかったものには給与3ヶ月分の退職金を支給する。 

 

 

 

3,600人のうち、2,492人がクリックした。69%だ。ウォッカ入りレッドブルで乾杯した。

 


ドナルド・トランプを投票の上、Twitterアカウントを復活させたり、ソフトウェアを書く人を50人まで絞りたいといえば、やっぱり本当に優秀な技術者をリストアップし、それ以外は刈り取れと言う。ソフトウェア技術者全員に最近書いたコードを提出させた。500通を1日で全部確認し、誰を残すのか、決めなければならないと担当者は厳しいという。結果、ダメなコードを書いた人はクビとなり、リストラは終了。第三ラウンドを終わり。8,000人いた人は2,000人まで減った。残ったメンバーで、シャドウバンをするのではなく、問題のあるツイートやアカウントにフィルターをかけて、検索で見つけにくくする機能を追加するようにした。

 


2022年にOpenAIで作成した人工知能チャットボットChatGTP。それに似たプロジェクトをテスラで始動。人間の行動から学ぶ自立運転システムだ。AIの成功には膨大なリアルタイムデータの収集・解析が欠かせない。マスクは2012年から人工知能が暴走し、意思のようなものを持って、人類を脅かす日が来るのではないかと心配している。Googleのラリーペイジに否定され二人の関係にヒビが入った。そしてOpenAIを立ち上げた。ただ創業メンバーと仲違いしOpenAIの取締役に退く。OpenAIはMicrosoftと共にする。2023年4月にGPT4をリリースし、Googleもバードで対抗。マスクはXAIを立ち上げ、Twitterのつぶやきと、テスラの動画のデータをベースにして二つの巨人に戦うのである。

 

 

 

本誌はここで終了。TwitterからXの話は無かったが、正直続編みたいですね。

 


#メーカー営業目線

#NIer目線

#テレビ番組制作目線

#広告代理店営業目線

#広告代理店プランナー目線

#マーケッター目線

#元YKK

#元ネットマークス

#元テレビ番組制作

#元三井物産のスタートアップ

#元ADK