tigerdriver-91’s blog

東京に来た大阪人がつれづれなるままに書いたブログ

進撃のドンキ

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ドンキを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は34年連続増収増益の2兆円企業でセブン・イオン・UNIQLO・ドンキと小売4位に。その根本は仕入れを店長ではなく個々の担当者に仕入れ、値付け、展示を任せている。誰が辞めても永続的に続くビジョナリーカンパニーを目指している。

 


チェーンストア理論を完全に無視。チェーンストアでもなければ、個人商店でもない。まさにコペルニクス的転回。業界の異端児。新しい業態を創造したいと生み出された「遍歴の騎士」ドン・キホーテ。大手ではできないことをやろう、痩せ馬にまたがって風車に突進する英雄に重ねた。圧縮陳列、ポップ洪水。

 


海外ではDON DON DONKIブランドとして日本食を9割の割合で販売。コンセプトは「ジャパンブランド・スペシャリティストア」。世界でも驚安の殿堂を貫く。焼き芋はシンガポールで1日3000本売れる.海外では売れまくり焼き芋マイスターを作る。輸出が難しいのでメイドバイジャパンとして現地内製化。店内で飲食店も開始。鮮選寿司、和牛串、富田精米のおにぎりやなど。

 


米国人に売れ入れられるよう、店の名前はトーキョーセントラル。寿司職人を立たせたら売れまくる。シャリマシーンを使えばネタを載せるだけなので斬り方さえ学べば大丈夫。塊肉文化のアメリカで、ジャパンスタイルカットとして薄切り肉を売ればバカ売れ。グアムにドンキ村山を作った。マツモトキヨシダイソー丸亀製麺、カレーハウスCoCo壱番館を入れて大繁盛。

 


・海外向け、日本食は第二の自動車産業

 


日本国内はZ世代向けにキラキラドンキを立ち上げ女子が入りやすい店を展開。キラキラドンキの店長、大森おうか、27歳でドンキ暦10年。アルバイトで衣類で服をたたむ仕事から開始し、飲食で少しずつ仕入れを任さ値付けまで担当するなど、アルバイトとはいえ仕事ができる人には遠慮なく権限譲渡する。マニュアルはないので自分で開拓する。21歳で社員として入社。その後経験を積み岐阜県のドンキでおもちゃ売り場責任者となる。23年3月に「名古屋駅前にキラキラドンキを出す、店長はお前しかいない」と。オープンは三ヶ月後。25人のバイト枠に464人の応募。お店にあった子を見極める作業が大変。ドンキには顧客親和性という言葉があり、想定顧客に最も近い店員が関わるべきだと平均年齢19歳の店でスタート。

 

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大森おうかさん曰く「バイトがおしゃべりをしていて、それを見たお客さんからのクレームを伝えるのに苦労しました。アルバイトが初めてで怒られるのにも慣れていない子がいる。その子の将来を考えた時に仕事が怖いと思われても嫌なので接し方には気をつけている。20代半ばでお母さんのような面持ちでいる。

 


・ロードサイド店からレールサイド店へ

ドンキにあれば何でもある、から、酒ドンキ、お菓子ドンキなど得意な商品にだけ特化して販売するとレールサイドでも特化した店で勝負出来ることを算段して出展。コスメドンキ、驚辛ドンキなど。

→モノを売るんじゃない、空間創造だ。

→賞味期限ではなく、興味期限。店の後ろにあったものが前に出ると売れる場合もある。

→店の中に正解があって、誰もそれを否定しない

 


KKD(勘と経験と度胸)

AIも導入するが勘も大切。「値付けバトル」を通じて生身の人間の勘や経験値をもAIに学ばせる。価格ミルというAIに勉強させる。単品管理のデータ。AIによる売価提案が実現すれば季節商品を効率的に売りさばく道が開ける。

→社員には、給料を上げるには生産性を上げるしかないと握ること

 

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・コピペのような画一的な店舗は作らない。

取締役の二宮仁美はドンキ500店舗のデザインを全て築き上げた。

二宮はえびすタワーの長方形の観覧車を模して作られたエンタメ空間にどんな企業なのかと思うようになった。当時ドンキにはデザイナーはいない。それでも面接に訪れた二宮は安田社長に「コレからの時代は、デザインの力が必要だ。是非入社してほしい」そしてファーストペンギンになる決意を固めた。

 

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13年12月にオープンした浅草店をブロードウェイのような光あふれる商店街にしたいと、電飾が立体的に浮かび上がり、青や赤のネオンがあたりを煌々と照らす。ドンキの色合いを全部無視した店舗も、地域一番で考えた結果、受け入れられた。

→顧客最優先主義を掲げるが、デザインにおいても顧客が発想の原点であるべき。顧客のニーズをしっかり観察、考察してPDCAを回す。

 


・pHmedia

博報堂と共同出資でリテールメディアを立ち上げ、店舗を媒体として運用する。

 


・降格制度

全国で20だった支社長を102分割し、100万人の商圏人口ごとに1人のミリオン支社長を任命。1人が3-6店舗を管轄する体制にした。利益貢献度で上位のミリオン支店長は高額の報酬を得られるが、下位の20%が自動的に降格し、新たな支店長が昇格する。役員はアンサーマンとして、降格したミリオン支店長のフォローや現場が困っていることのアンサーマンとして活躍する。

 


・会議なのに数字の話をしない

数字が悪いことを悪いと言ってもしょうがない。一つのエリアを経営してどう言う気づきがあったかを共有する場。仕事ではなくゲームとして楽しむ。明確な勝敗の基準とタイムリミットを設け、大幅な自由裁量権を与えてルールは最小限のシンプルなものにした。

 


・ディスプレイの鉄人

店舗の陳列ナンバーワンを決める社内行事だった。予選から地区大会、本戦と審査員の時間が取られることなど一年がかりのイベントであったので休止していたが、社内のためにやろうと復活。投資を決めた。35分25アイテムを圧縮陳列する。審査基準は細かくフィギュアスケートのように細かい動きも見る。5人の審査員は地区は管掌役員1人支社長2人カテゴリーリーダー2人、基礎点50、応用点50とルールも細かく設定されている。

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・バイト上がりが活躍する

上記ディスプレイの鉄人などバイトの活躍もあるが、社員となり役員となる人もいる。バイトが人財なのである。何でも1位というルールを設定して、商品ごとも細かくランキングされている。何でも一位になったら盛り上げる文化もある。競争することで人が育てるのではなく、自ら育つ。入社6年目で支社長になることもある。

 


・経営破綻した長崎屋を買収

衣服が売れていたのでそこを伸ばそうとしたが失敗。顧客が高年齢化していたので、思い切ってニューファミリーにターゲットを変更し、中身もドンキっぽくし、まさに大型ドンキのように経営した。ファミリー層や主婦層の期待に応えるよう徹底的に何度も試作を繰り返し、四年目で黒字となった。大型店は初の試みで生鮮食品の経験も得ることができた。それを生かしてMEGAドンキという大型店に乗り出した。

 


・1割は出戻り組

正社員の1割である300人が出戻り。売り上げで勝負できるドンキに戻ってくる人は多い。髪型は自由。女性店長を100人にしようプロジェクト。女性役員の二宮が「ニノ部屋」を作って話を聞く。

 


・ユニーを完全子会社化

UNY(ユニー)は東海地方を地盤に「アピタ」「ピアゴ」を展開する総合スーパー(GMS)大手の一角。

衣食住なんでも揃う総合スーパーは冬の時代となり、2016年6月にファミリーマートに吸収合併されユニー・ファミリーマートホールディングスとなる。その後、ユニー株40%を17年11月に買取、19年1月に残る60%を買取。ユニーを完全子会社とする。一方、グループ会社のサークルKサンクスファミリーマートが取り込み店舗数はセブンイレブンに次いで2位となる。ドンキはユニーを加えて売上高が1兆3288億円と前年比4割アップという大幅増収となる。

 


2018年2月、ピアゴ大口(横浜)はMEGAドン・キホーテUNY横浜大口店とダブルネームでスタート。中身は全てドンキとなる。

 


食品の鮮度や品質に定評のあるユニーが、青果、鮮魚、精肉、総菜の生鮮4品の仕入れを担当し、ユニーの仕入れや目利き力、食材加工術を直接学び、ダブルネーム6店舗は売り上げが倍増、2,000万円の赤字から2億8,000万円の黒字となった。

 

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・創業者の安田隆夫

売り上げが伸びている段階で、経営から全て降りて後進に引き継ぐ、今後の社長も後進に権限移譲する文化を作ってほしい。

安田隆夫の複数形によるチーム経営へ

→ドンキ独自のビジョナリーカンパニーの考え方

→実直に毎年十数%ずつ伸ばし、複利効果で業績を上げていく、それを30年続けると小さな会社もこうなる

→1人で店じまいをしていたらお客さんが来た、そこからナイトマーケットという発想が出た

→お前に任せるよ、と頼まれたら、やるんじゃないですかね

→業態はあっても業界がない、ドンキのポジション

→日本のドン・キホーテは海外には持っていけない、一つの国に特化した商品を扱い、世界に通用する店を作れるのは日本だけ

→上司が部下を個人的なことで使うことを全て禁止した、全員でモラルを守らない限り、性善説の経営は通用しない。上司は威張るな。

→重要なのは、独自性の確立(ビジネスとして)と拡張性の具現化です。この相反する矛盾を同時に磨いていかない限り、企業としては成立しない。orじゃないandなんです。

  

安田隆夫の著者「源流」

役員が迷った時に開く生きたビジネス書。未来永劫実践すべき理念や行動規範が書かれた書

→顧客最優先主義

→権限委譲の本質は狭くて深い

→ポジティブ・ネガティブどちらであっても誠意を持って公正に部下を評価する(場合によっては涙を流して降格を告げる)

→批判や不祥事に鍛えられた源流経営(深夜営業による治安の悪化や騒音問題、出展反対運動、放火事件で3人が命を落とした、元社長の金融商品取引法違反)、いい店を作るだけでなく、いい会社作りを進めなくてはならない。高い志とモラルに裏付けされた、無私で真面目な商売に徹する

→仕事を「ワーク」でなく「ゲーム」として楽しめ

→公私混同の禁止、役得の禁止、不作為の禁止、情実の禁止、中傷の禁止

 

 

 

・明確な勝敗、タイムリミット、最小限のルール、大幅な自由裁量権が権限委譲の4要素

→上司は基本的に口にチャック

→店を見るにはレジから見る

 

 

 

 


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