tigerdriver-91’s blog

東京に来た大阪人がつれづれなるままに書いたブログ

戦略プロフェッショナル

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本誌はV字回復の経営でも出てくる黒岩完太の社会人になってから「生き方」「戦略の立て方」「経営」など、どのように学んできたかを追うことができる一冊です。

 


三井財閥からの転職】

1960年代に三井財閥で新卒で入ると終身雇用が当たり前の時代。新卒で当時新幹線も開通していない岩国で仕事をするも疑問に感じ、大学教授からボストンコンサルティンググループを紹介されて入社。

 


なお、大学教授は夜10時に帰宅したら、25歳の黒岩が訪ねてきていたのだが、嫌な顔せずアドバイスした。人を育てる模範的な行動。

 


なお1960年から80年はアメリカは凋落した時代。当時舐めていた日本に次々と技術を教えた。飢えていた日本は借金をして学び、そして猛烈に働いてアメリカ製品の品質を超えた。当時アメリカは盗まれた感覚はなく、1980年後半に大量のリストラを出す。アメリカはほとんど働か無かったからた。1980年から日本の研究が始まり、先行投資、トヨタカンバン方式などを学び、部分最適から全体最適を行い、1990年代に復活。日本はアメリカが日本から学ばれているのを気づかず、1990年以降は日本が凋落。次は日本が失われた30年となった。

 


日本は労働の物量では勝っていたが、経営の知的戦いで負けていた。分析をしなかったからだ。

 


【ボストンコンサル時代】

黒岩はBCGで戦略を学ぶ。2年間徹底的に学んだ後、1年間のアメリカ勤務を与えられコンサルタントとして学ばされる。そして帰国。ただ一年では到底大企業の経営者と仕事でやり合うのは難しくハーバード大学MBAを取ることを決意。BCGを退職して29歳にして2年間学ぶ。なお、BCGから帰国した際に結婚する女性がいたため、結婚をして一度ハーバード大学は諦めた。ただ、妻が結婚して留学を諦めてはいけないと背中を押してくれて、日本に帰ってきたが直ぐに渡米してハーバードの学生となる。卒業の頃は一番貧乏だったが、MBAを取ってメディカル企業に勤めた頃から貧乏とはおさらばとなった。なお、一度BCGで働いていたこともありMBAは授業に出なくて良いと優遇されることもあった。コンサルを経験した学生は教授としても扱いにくいみたいだ。

 


ハーバードのMBAは年収が最も高いコンサルの就職も可能だったが、経営者をしたい黒岩は子会社社長をやることを条件にアメリカのメディカル企業を選ぶ。

 


【シカゴ テックス社】

就職してしばらくすると母が危篤に。子供を産んだばかりの妻と一緒に日本に帰国。貧乏だったが育ててくれた母の最後のひと目会いたいと急いで帰国。母と会った時は酸素テントの中。黒岩が声をかけると、意識朦朧の母が気付いた。「アメリカから帰ってきて仕事は大丈夫?」と。その会話が最後で母は亡くなった。自分が危篤なのに子供の仕事を心配している母の気持ちに黒岩は病院の廊下で慟哭した。

 


東京の合弁会社に行く予定が、既に大阪にある合弁会社の経営が危ないので、そこの社長になるよう指示が入る。事前調査で2度大阪に訪問。アメリカの製品が悪いとクレームの嵐。これはコンサルの時と同じ「いつかみた風景」だ。

 


この時のアメリカは自分たちの商品品質を信じて疑わず、結果大きな失敗を繰り返す。1989年には多くの米国企業がリストラを敢行した。

 


【大阪の合弁会社

黒岩の事例は常務取締役。この34億円の売り上げ(現在だと100億円くらいの価値)120名の社員と手頃な規模の会社である。社長も幹部も財閥日本企業の天下り定年前の方。社員は中途社員。一度も部下を持ったことがない32歳の黒岩がこの会社の経営を始める。

 


社長は親ぐらい離れた財閥からの出向者。他の出向幹部は日本51米国49から米国側のひつこい交渉で50-50になり、米国が経営権を握ることになったため出向元へ戻ることに。社長だけは残り、人事や総務などの間接部門をみることとなる。

 


黒岩は早速外国人マネージャーを1人呼び寄せ、全体俯瞰から開始する。ただし、営業10人を統括するだけのマネージャーなので経営は何もできない。結局自分が見ることになる。

 


「まずは、現状分析から始めます!」という言葉に対し「具体的に何をどうするの?」というと一気に止まってしまうことが多い。戦略を立てる上で何から見ていくかをハッキリさせる事が重要。

 


業績→市場の規模・成長性→競合→当社の強み・弱み

 


上記のようなフレームワークを持っていない人が圧倒的に多い。業績ではプロダクトのシェアと成長率を分析、シェアが変わらない場合は商品ライクサイクルの真ん中にいて成長が望めない可能性があるということ、数字は伸びているがシェアが取れないのは成長率のピークは過ぎている可能性があるなどを分析して次に何ができるかを考える。

 

・価格のセンシティビティー

価格を上下に10%、あるいわ20%変えたら、買い手の需要はどれほど変化するか。その分析を価格のセンシティビティー(感応性)という。価格を上げても売上高が減らない場合の分析、競合の動きへの対抗は別にして、価格を下げても売り上げが上がるかどうかの分析もする。

 


・データ検証のムダ

あらかじめ「仮説」を持って「多分、こういうことが言えるだろう」というアタリをつけないと、ムダなデータばかり集めることになる。

(例えばジュピターの商品は高いけど、1-2年で元がとれる、と言う計算までできるデータが取れるかどうか?値段が高いからだけで、尻尾を巻いて帰ってくる営業が問題)

 


・営業が売れない要因の洗い出し

「価格」「この業界で初めての自動機器だから、ユーザーの抵抗感が強い」「予算化に一年かかる」「使い捨てしか売ってないので機械化に抵抗感がある」「機械に興味を持ってくれない」

→上記のほとんどが説明不足と自社商品をPRするための分析不足。上記のようなことは「伝染病がかかったように、皆が同じ意見を言う」現象だ。戦略を立てて説明する必要がある。

 


・目標をたてる

何台売る、売り上げ◯円、契約件数などを決める。大きな目標を立てると「業界の特殊性」「地域の特殊性」の言葉が出る。これは危険信号で新しい考え方、新しい戦略に対するささやかな抵抗表現である。

 


・社員のマインドを変える

経営革新には「戦略」と「ビジネスプロセス」(社内の仕事の流し方や組織の組み立て)を改革し、その実行のための具体的な「プログラム」を用意すること。

 


革新プログラム

1.商品のアドオン

1番のネックは機械購入の予算化に時間がかかること。リースにするより、消耗品単価をアドオンし、機械の費用が回収できれば元の定価に戻す。

 


2.組織変革

絞りと集中するためジュピター商品だけ売る小さい組織を作る

 


3.機械の直販

機械はアドオンなので代理店を通さず直販、ここが代理店とぶつかるポイント

 


4.販売ツールの整備

新しい売り方をPRする。展示会、カタログ、ユーザーの手引きなど

 


5.提案書の作成

商品のメリットを文書化し、ここのクライアントに送付する。

 


6.営業インセンティブ

一台販売ごとにx万円、トップセールスマンはカメリカ本土で研修

 


【本格的な営業活動】

・市場セグメンテーション

今までの営業先だけでなく、ユニークなセグメンテーションを編み出し、それをステルス的に静かに実行する。競合が気づくのか遅れ、戦略効果が高まる。戦略を分けるタテヨコの基準は自社の戦略目的に「完璧に」合致しないといけない。

 


・タテヨコ基準

関係者3人で3日間くらいかけて様々なマトリックスを作って議論する。営業先として「受注した時にメリットがある」「顧客ニーズの強さ」でプロットしてみる。(顧客ニーズの強さの8割は弱い場合が多い)営業を行うのは「他社の領域」で上位客から攻める、上位を取れば下の層に波及効果があり、中位が取れれば勢いがつく。他社の下位を攻める段階で初めて今までの顧客を攻める。この順番を間違えてはいけない。既存顧客から連絡があった場合のみ対応するが、積極的には行わない。あくまで他社顧客が終わるまで行う。

 


→営業マンのこれまでの習性をぶち壊せ!

 


・営業の行動管理

F まだ何もしていない

E第一回訪問(挨拶、自己紹介など)

D第二回訪問以降

Cデモ及びその後の訪問

B1見積もり提出とその後の訪問

B0価格などの条件交渉

A1受注決定及びその後の訪問

A0納品(売り上げ)

 


Zアプローチ終了

 


→上記はステータスが後戻りしないのが特徴

→時間軸でステータスが上がる仕組み

 

 

 

・絞りと集中(セグメンテーション)

細分化と訳されることが多いが、企業戦略論の中で絞り、捨てるための道具として考えること。

「先に商品ありき」と「先に市場ありき」と二つの選択肢がある。

「先に商品ありき」は黒岩のケースで、誰に売れば最も効率が上がるか、を考えること。

「先に市場ありき」は、これから新しく商品開発や事業開発をする時に問題になる。顧客の購買動機や特性の変化を分析し、世に出ていないニーズ(製品空間)を見つけ、それに狙いを絞って、開発を行う。

 


→良い市場は斬新な市場であることが多く、営業からの反発も大きい市場である。未開拓の市場にアタックする戦略は、弱い営業マンの習性を逆撫でする内容になるからだ。

それを無理矢理にでも実行することによって営業力が強化される。

 


・セグメンテーションは皆んなでワイワイガヤガヤとブレーン・ストーミングで行うのに向いている。

 


・セグメントの効果がある条件

(フィリップ・コトラー氏より)

①測定可能である

そのセグメントの内容や大きさをはかるための情報を得られること

②到達可能である

そのセグメントに効果的に到達し得る営業手法を持ち得ること

③十分な規模

そのセグメントを狙って何かをする価値があるぐらいに市場規模があること

 


→活動コードAからFを作ることで行動を測定し、営業手法はプランで決め、市場規模は大きな他社市場と決めた。

 


・ナンバーワンになること

どれだけ小さい市場でも良いのでナンバーワンになることは市場を獲得した状態なので全てにおいて先行できるからだ。

 


・成功の後の対応

トップダウンで戦略を作って成功すると、次は下からプランが上がってこない、上からの指示待ちとなる。次はミドルをどう育てるか。どのように経営者になるかを育てる必要がある。


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