tigerdriver-91’s blog

東京に来た大阪人がつれづれなるままに書いたブログ

【デジマ10年未満、もしくは広告代理店パーソンの方は必読書】

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筆者は1996年にADK社員でありながら、博報堂と共同でデジタルマーケ会社であるDACデジタルアドバタイジングコンソーシアム)を設立(37歳の頃)。
今のDAC社はご存知の通り経常利益で200億円を超える規模の企業です。


マスマーケティング全盛期の代理店の中、いち社員の立場でデジタルマーケの可能性を社内に説き、競合他社である博報堂とも交渉して設立させる実行力に富んだ方でもあります。


私は横山塾一期生として、週一回の厳しいフィードバックを頂きながら未来のデジタルマーケティングを学んでいました。


横山さんのブログ、業界人間ベム、しょっちゅう読んでいました。


横山塾に入った2010年には総合広告代理店の役割をコンサルファームとSIerが取って代わるのでは、とおっしゃっていました。2010年のADKは、まだまだテレビ広告を売る人間がもっとも評価される中で、今後の広告業界の展望を若い人たちに説いておられました。


現在。


アクセンチュアインタラクティブ売上総利益は、世界5大広告代理店(WPP、オムニコム、ピュブリクス、IPG、電通)に食い込む三位にランキング。イギリスのイージスを買収して巨大化した電通も上回っています。その下には、PwCデジタルサービス、デロイトデジタルが来ており、DACやアイラップを傘下にした博報堂DYより上にいます。その下にはIBM iXもきており、ADKをはじめとした広告枠売り代理店は見る影もありません。マーケティング領域に対抗できる体制が整備され、総合広告代理店の存在価値が問われている時代になりました。

 


そんな先見の明がある横山さんが2030年の広告ビジネスを語るとなると、間違いなく買いの一冊です。

 


事業者(広告主)は各種ツールを使いこなし、デジタル広告からTVCMのバイイングも。コロナ禍により、DX化が加速したとも言えますよね。


因みに筆者が語るDXの本質とは、デジタル思考ができる人材の育成であり、そうしま人材によるプロセスのデジタル化、と説いています。日本は旧来人材とデジタル系人材が二分化していることを問題視しており、見た目のDXが完遂しても本質が伴わないために形骸化し、責任を取らされるDXコンサルやITコンサルは増えると予測しています。

 


総合広告代理店のクリエイターが次々と独立し、クリエイティブブティックとして次々と直取引を行うようになりました。


イベントや印刷物などは総合広告代理店を通さず、直接業者発注は加速し、展示会イベントを50万円から設営する会社やネット印刷などが発展してきました。

 


では、代理店は何をオーケストレーション(指揮)しないといけないのでしょう。


広告代理店の方々は実際に事業主/広告主の予算を使って、広告出稿からプロモーション企画、クリエイティブと全て携わっています。それを全て理解して指揮できる人材育成が必須です。それは、コンサルやSIやDXベンダーでは経験値として得ることが出来ない知見なので、苦手意識を消して、一人ひとりが指揮者になる必要があります。次に事業主/広告主を育成できるスキルも必要です。広告代理店と同様に一人ひとりのスキルを上げるのは大変な作業です。事業主/広告主は社員のゼネラリスト化を望んでいます。育成と言うと上からになりますが、ナレッジを惜しみなく共有することが求められていると思います。情報を出す人間は絶対感謝されていますから^_^(性善説です)。


あと筆者は広告代理店業界において、史上最後のグローバル展開を始めた「S4キャピタル」を紹介しています。「S4キャピタル」とは、世界一位の広告代理店WPPを創業したマーチン・ソレル氏が、WPPを引退して、自己資本78億円を投入して設立した会社です。追加で融資も受け、創業と同時に上場し(海外はそんなことできるんですね)、クライアントは今後成長が期待できるテック企業に投資し、マーケティングも教育して事業成長させることを種に行っています。メディアの活用ははGoogleFacebookAmazonなどのデジタル基盤に伴う広告配信、収益基盤は(メディア:コンテンツ=3:7)と明確な基準を設けています。
コンテンツとテクノロジーの重要性がこのようなカタチで現れてきていますね。

 

 


なお、テクノロジーのことも語っており、ChatGTPにより広告運用者や過去のパフォーマンスに沿ったクリエイティブの登場で、仕事を失うことも指摘しています。筆者が特筆しているのが、広告代理店にDXを期待するのでなく、第三の事業者が事業主や広告主に直接ソリューションを提供することが必要と説いています。広告代理店は事業主/広告主が動いて初めて対応を始めるので、第三の事業者への期待を語っています。


これは裏返すと広告代理店が事業主/広告主に寄り添ったソリューションを提供できる広告代理店が勝ち抜ける、と言っているようにも聞こえます。。。

 


さて、広告ビジネスの視点では、Netflixの広告枠提供やそこを考えずに新たなマーケティング収益を考えるAmazonなどが紹介されています。
Amazonの営業利益の75%はAWSです。
看板だったEC事業やAmazonプライムは、消費者にネット利用を促進させ、生産者にネット利用を促進してAWSを販売する撒餌になっています。
Netflixとディズニープラスが会員数で競い合いコンテンツが拡充され、DAZNはスポーツに特化され、Microsoftはオンラインゲームに力を入れてネット環境をドンドン拡充すればするほど、消費者のネット化が進んで対応に追われる事業主が増える構造ですね。
NetflixとAbemaの提携も、親会社のサイバーエージェントがゲームでの営業利益8割ということから、Netflixと一方的なコンテンツ配信からコンシューマー双方向のゲームに舵を切りたいのではないかと思う提携ですね。


最後に広告ビジネスにおいて、見るべき指標は売上でなく、売上総利益EBITDAを説いていますが、僕が気になったのは人の話です。
結局、広告代理店も自分都合のメディア売りは変わらず、広告主も事業主も広告代理店に依存して自ら勉強しない風習です。なので筆者はそれぞれに人を派遣し合ってお互いのことを勉強すべきと説いています。僕は代理店から広告主事業主に来て今年6年目ですが、マーケティング以外の仕事の多さに驚く日々です。担当レベルであれば縦割りができていますが、管理職になると経営に関わる「都合」を視野に入れて業務を推進しないと成立しません。営業に対してマーケティング企画の理解促進をさせること、経営企画(機能戦略におけるサポートも含む)や管理部(人の教育プログラムが主)、情報システム(DX関連)との折衝など、関わる部署が多く判断に追われることが多いです。自分主語の判断はダメで、会社全体を考えて人の意見を聞くこと、最適なポイントを見つけることが大切です。業務量よりも社内把握と業務把握と人の把握に仕事をしています。それは代理店にいたらわからないと思います。代理店の営業職に近いかもしれませんが、事業主は失敗できないので中長期で利益を稼げる営業活動を続けないといけない大変さはあります。


この本を手に取る人で横山隆治を初めて知る人もいると思いますが、横山隆治と時間を共にして学んだ方は、何かしらかの考えを持って行動できる人になっていると思います。毎週木曜日の横山さんからの一人ひとりへのヒアリングは本当にキツかったですが(公開処刑含め^_^)、今では本当に勉強させていただいたことに感謝しています。この本を読んで、少しでもそのイズムが若い人たちに広がることを期待しています。